製造業や建設業以外の業種では、労災事故の経験がないという会社も多いと思います。しかし、社内の階段で
転んだり、重い物を運んでいてぎっくり腰になる、カッターナイフで指を切るなどということは、起こり得るものです。
いざというときに慌てないよう、労災が起きたらまず何をすべきか、ポイントを押さえておきましょう。
また、労災保険を使うと会社が損をするというイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
ここでは、労災について基本的な事項をまとめました。
詳しいフローはこちら
事例1
社内で書類をカッターで裁断作業していた
Bさんは誤って書類を押さえていた手の指先を深く切った。
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○ 労災指定病院なら立て替え不要
ここでは事例1を参考に説明していきましょう。まずは治療が最優先です。最寄りの労災指定病院へ受診します。
(ただし、状況によっては救急車を呼ぶ)
労災指定病院とは、都道府県の労働基準局長が指定した病院ですが、労災は指定病院でしか治療を受けられ
ないというわけではありません。では、他の病院とは何が違うのでしょうか?
簡単に言うと、治療費を立て替える必要があるかないかの違いです。労災指定病院の場合、申請書類(様式5号)
を提出すれば病院が治療費を直接労働基準監督署に請求するため、立て替える必要がありません。
その他の病院では、治療費は患者がいったん支払い、後日監督署に申請書類(様式7号)を提出して請求します。
どちらが得ということはありませんが、労災では自己負担割合がゼロですから指定病院では
まったくお金を払わずに済むことになります
(病院によっては書類提出(様式5号等)まで仮払金を求められる場合があります)。
事実関係の把握(Bさんのケース)
被災者:小川B子
職 種:総務
曰 時:平成21年3月1日(金)午後4時ごろ
どのような場所で:本社総務部
どのような作業をしている時に:書類整理
どのような物または環境に:カッター
どのような不安全または有害な状態があって:
紙の押さえ方が不十分
どのような災害が発生したか:
紙を押えてた指をカッターで切る
現認者:経理部 田中C子
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事実関係を把握する
次に、労災事故の詳細を正確に把握する必要があります。いつ、どこで、 どのようにして事故が起きたか、事
故を見ていた人(現認者といいます)がいればその氏名など、できるだけ詳しく把握し、メモしておきます。これらの情報は労災申請の書類を書く際にも必要になります。
○ 会社の責任?本人の不注意?
本人の不注意でも、仕事中の事故なら労災です(天災や故意によるものなどを除く)。
作業機械でケガをする製造業などと違って、デスクワークの場合は、本人の不注意で転んだり、何かに指を
はさんだり、といったささいな事故が多いでしょう。そのため「労災」という意識が起きにくいかもしれませんが、
仕事中の事故であれば労災と考えるべきです。
大きな事故では、監督署の調査が入る場合もあります。労災の支給の有無に関わらず、会社に安全衛生上の
不備があれば注意を受けますが、安全管理体制を見直す機会ととらえて真摯に受けましょう。面倒を嫌って
労災であることを隠してはいけません。労災隠しは書類送検されることもあるのです。
一見会社には責任がないように思えることでも、危険なことがわかっていたのに、
何の対策をとっていなかったとしたら、会社は安全衛生上の過失(注意を怠ったこと)を指摘されるかもしれません。
○ 通勤災害と業務災害
社内で仕事をしている間や、社外であっても外回り営業など事業主の支配下にあると判断される場合の事故は
「業務上の災害」です。昼休みなど社内にいても仕事中でない場合は、施設の欠陥や管理状況が原因となって
起きた事故に限り「業務災害」となります。通勤途中の事故は合理的な経路・方法であれば
「通勤災害」と認められます。
通勤災害と業務災害では、実質的に何が変わるのでしょう。1つは200円の一部負担金です。通勤災害の場合、
4日以上休業して休業補償を受けるときにこの−部負担金が控除されます。
もう1つは会社の責任が問われるかどうかです。通勤災害は会社の責任ではありませんが、
業務災害では会社の責任が問われます。これは次に説明するように、保険料に反映されることもあります。
○ 労災を使うと保険料が上がる?
労災を使うことになんとなくマイナスイメージを持っている事業主は多いのではないでしょうか?理由は
「保険料が高くなるから」でしょう。確かに、労災事故の多さに応じて保険料が変わる「メリット制」という制度があります。
しかし、メリット制の対象になる基準は、(建設業は別の基準によります。)
連続する3年度において、次のいずれかです。
@労働者が常時100人以上の事業
A労働者が常時20人以上で一定の要件にあてはまる事業
年度更新のときに「労災保険率決定通知書」が送付されていればメリット制の対象事業ですが、
そうでなければ「保険料が高くなる」と心配することはないのです。
○ 監督署へ報告する
業務上の災害が起きたときは監督署へ「死傷病報告」を提出しなければなりません。
死傷病報告は2種類に分かれます。
4日以上の休業 :遅滞なく、その都度
4日以内の休業 :4半期ごとにまとめて(4、7、10、1月の10日までに)
休業なし、通勤災害:報告不要
労災給付をもらうかどうかにかかわらず、事故を起こした報告として、事業主が必ず提出しなければなりません。
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